ツバルとは

ツバル共和国は、南太平洋ポリネシアの西端(南緯5~11度、東経176~180度)に位置する人口約1万人の島嶼国です。5つの環礁島と4つの珊瑚島からなるとても小さな国で、9つすべての島の面積を合わせても約26km²しかありません。ためしに島の面積を伊豆諸島と比較してみると、八丈島は69.11km²、大島90.73km²、新島22.97km²、三宅島は55.2km²です。つまり、ツバルの9つの島を合わせても、新島より少し大きい程度ということになります。くわえて、どの島も海抜が低く(とりわけ低いのは首都フナフチ環礁のフォンガファレ島で平均海抜1.5m、最高地点でも3.6m。[吉岡2010])、気象災害や気候変動の影響を受けやすいという特徴があります。また、島には山がないため、河川もなく、人々は生活用水を雨水に頼っています。真水が容易に手に入らない島の環境は、人間にとっても動植物にとっても過酷なものだといえます。

ツバルの島々

かつてエリス諸島の名で知られていたツバルは、1892年にギルバート諸島(現キリバス共和国)とともにイギリスの保護領となり、1916年には、英国直轄植民地ギルバート・アンド・エリス諸島になりました。その後、1978年にツバル共和国として独立を果たします。ツバルという名称は、tu(立つ)とvalu(8)の2語からなっており、「8つの島がともに立ち上がる」という意味が込められています。先にツバルには9つの島があると書きましたが、9つのうちニウラキタ島は、独立当初無人島であったため、8と数えられました。現在もニウラキタ島は、(人は住んでいるものの)ニウタオ島の一部として捉えられることがあります。8つの島とは、北から南へ順に、ナヌメア(Nanumea)環礁、ナヌマンガ(Nanumanga)島、ニウタオ(Niutao)島、ヌイ(Nui)環礁、バイツプ(Vaitupu)島、ヌクフェエタウ(Nukufetau)環礁、フナフチ(Funafuti)環礁、ヌクラエラエ(Nukulaelae)環礁です。

ツバル政府の報告によると、2017年のツバルの国内人口は10,507人。その半数以上が海外との唯一の連絡口である首都フナフチに住んでいます。各島の人口は以下のとおりです。

首都 フナフチ 6320人
離島 ナヌマンガ 491人
離島 ナヌメア 512人
離島 ニウタオ・ニウラキタ 616人
離島 ヌイ 610人
離島 ヌクフェタウ 597人
離島 ヌクラエラエ 300人
離島 バイツプ 1061人
※ニウラキタ島はニウタオ島の一部と考えられているため、この2島は「ニウタオ・ニウラキタ」とします。

この表から、フナフチと離島の著しい人口差がみてとれるでしょう。フナフチはツバル唯一の空港を有し、売店、ホテル、病院、銀行、郵便局、官庁などが集中しているもっとも都市化された島です。とはいえ、高層ビルが乱立し、自動車がせわしなく往来するような一般的な都市のイメージとはかけ離れています。島の中心に主要施設が集まってはいるものの、細長いリング状の陸地を通る頼りない一本道の両側にはココヤシやパンダナスの木々が立ち並び、その間に古びた民家の姿がポツポツとみられます。

機上からのフナフチ環礁
機上からみたフナフチ環礁。細く低い土地は気象災害や気候変動の影響を受けやすい。
フィジーのナウソリ国際空港から3時間、眼下に長細いフナフチ環礁が現れる。
雨水を溜めるタンク
真水は貴重。民家には雨水を溜めるタンクが並ぶ。
南太平洋ポリネシア西端に位置するツバル共和国
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