ツバル語では生物のことをmea ola(mea [物] + ola [生きている] )といいます。多くのツバル人の認識では、mea olaは以下のように4つに分類されます。
ツバルにみられる維管束植物に関する資料は、古くはHedley(1896)やMaiden(1904)などがありますが、もっとも詳しいものは、木本・草本の名称や生態を写真とともにまとめたThaman, Fihaki, Fong(2012)のPlants of Tuvalu: Lākau mo Mouku o Tuvaluでしょう。下の表はThamanらがフナフチ環礁とツバル全体の維管束植物種数を報告したものです(カッコ内は離島も含めた数)。これによると、ツバルに現存する維管束植物はたったの356種ほどで、ツバルの固有種はありません。そのなかのわずか64種(18%)が土着のもので、その他292種(82%)は人の入植によって持ち込まれたものです。また、全356種のうちフナフチ環礁に生息するものは約349種で、そのうち57種が土着のものです。(Thaman. ed. 2012: 23-24)ちなみに、地球上で確認されている植物は少なくとも30万種、日本の維管束植物は5,300種といわれていますから、ツバルの環境が植物の生育にとっていかに過酷なものかがわかるでしょう。
綱 | 原産 | 原住民による導入 | 近年の導入 | 計 |
---|---|---|---|---|
シダ植物 | 6 (7) | — | 3 | 9 (10) |
裸子植物 | — | — | 2 | 2 (2) |
単子葉植物 | 10 (11) | 7 | 87 | 104 (105) |
双子葉植物 | 41 (46) | 5 | 188 | 234 (239) |
計 | 57 (64) | 12 | 280 | 349 (356) |
ツバル語では、いわゆる維管束植物を総称してlakauといいます。lakauは大きく2種類に下位分類されます。ひとつは、低木・灌木も含めた木本類を指すlakau、もうひとつは草本類を指すmoukuです。薬草や、香りを抽出したりするのに用いるmoukuには個別の名称がありますが、人間にとってとくに有用性のないいわゆる「雑草」は個別の名称をもたず、たんにmoukuと呼ばれます。
ツバルの文化では、単子葉植物であるココヤシ(niu)とパンダナス(fala)の2種は、ツバルの木本のなかでもとりわけ利用価値の高いものです。どちらとも、土着のものも、耕作され植えられたものも存在します。