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ツバル語の人称代名詞

ツバル語やその他多くのポリネシア諸語の人称代名詞には、日本語や英語にはない特徴があります。それは、「2人」を対象とした「双数」という概念があることです。つまり、ツバル語の人称代名詞は単数(1人)、双数(2人)、複数(3人以上)の3種類に区別されるのです。また、1人称双数・複数の代名詞(私たち)では、聞き手を含む「私たち」なのか、含まない「私たち」なのかによっても区別されます。

さらに、所有格の代名詞に関してはもうひとつの特徴があります。それは、「譲渡可能」(alienable)か、「譲渡不可能」(unalienable)かによってそれぞれAクラス、Oクラスに区別されるということです。「譲渡不可能」なものとしては、母語、名前、出自、血縁関係、身体(の部位)、家など生来ひとに備わっているものや不易の性質、衣類、花冠、香水など身につけるもの、寝具やござなど身体と頻繁に接触するもの、カヌー、斧、槍、鋤(すき)、ココナツの皮をむくための棒(koso)、漁具といった伝統的な所有物などがあげられます(Besnier2000)。一方、飲食物や家畜、その他比較的容易に手に入れられたり、失ったりするようなものは「譲渡可能」なものになります。このように、とても複雑なツバル語の人称代名詞ですが、一方で3人称単数では「彼・彼女」の区別がないという特徴もあります。

ツバル語の代名詞一覧

【人称代名詞】

話し手も聞き手も含む 聞き手は含まない 話し手は含まない 話し手も聞き手も含まない
単数 au
(私)
koe
(あなた)
ia
(彼・彼女)
双数 tāua
(私たち2人)
māua
(私たち2人)
kōlua
(あなたたち2人)
lāua
(彼・彼女ら2人)
複数 tātou
(私たち)
mātou
(私たち)
koutou
(あなたたち)
lātou
(彼・彼女ら)

【所有格】

+単数名詞 +複数名詞 +不定単数名詞 +不定複数名詞
1人称 私の Oタイプ
(譲渡不可能物)
toku oku soku ne oku
Aタイプ
(譲渡可能物)
taku aku saku ne aku
私たち2人の 聞き手を含む te ta ta se ta ne ta
聞き手を含まない te ma ma sa ma ne ma
私たち3人以上の 聞き手を含む te tou tou se tou ne tou
聞き手を含まない te motou omotou se omotou ne omotou
2人称 あなたの Oタイプ tou ou sou ne ou
Aタイプ tau au sau ne au
あなたたち2人の te lua lua se lua ne lua
あなたたち3人以上の te otou otou se otou ne otou
3人称 彼・彼女の tena ana sena ne ana
彼ら・彼女ら2人の te la la ne la ne la
彼ら・彼女ら3人以上の te lotou olotou se lotou ne lotou

【指示代名詞】

ここ そこ あそこ
単数対象物 tenei tena tela
複数対象物 konei kona kola
(参考:木村 2015、ナツ 2018)
CC-BY-NC
ツバル言語文化辞典
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